蟷螂(とうろう)の斧という故事成語がある。蟷螂とはカマキリのことで、この言葉はカマキリが前足を上げて大きな車の進行を止めようとしていたということから、弱小のものが自分の力量もわきまえずに強敵に向かうことのたとえである。これは無謀で身の程知らずな様を表すのだが、私はそうは思わない。確かに、圧倒的な実力差がある時、立ち向かうのは合理的でないといえる。しかし、男には立ち向かわなければいけない時があるのだ。損得ではなく己のうちに秘めた大事な何かを賭けて、勝てないとはわかっていても戦わなければいけない時がある。だから私はあえて言いたい。男たちよ、常に心に蟷螂の斧を持て、と。